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がん保険に払込免除の特約は必要なのか?
国立がん研究センターが発表している、2017年度の最新がん統計人間が、一生のうちがんにかかる確率は、男性が62%、女性が47%というデータが出ています。
「がんで死亡する確率~累積死亡リスク(2017年データに基づく)」より)
これに伴い、がん保険やがん特約への加入率も年々増加しています。平成30年度 生命保険に関する全国実態調査によると、民間保険加入世帯のうち、がん保険・がん特約への加入率は62.8%との調査結果が発表されています。
がん特約には、医療保険に上乗せするタイプのものや、がん保険に上乗せするタイプなどがありますが、どちらもより手厚い保障を受けることを目的としています。がんにより入院したり手術を受けたりした場合の治療費負担は、すぐに思いつきますよね。
しかし、がんにかかってからの保険料が支払えるかどうかと言う点に関しては、なかなか思いつかない方も多いのではないでしょうか。そんなときに目をつけたい特約が、保険料払込免除です。
払込免除をつけると、契約する特約が増え、当然毎月の保険料も上がるので、つけるかどうか迷う方も多いかと思います。特約をつけようとすると、気になる事もいろいろ出てきますよね。
そこで、この記事では、
- 払込免除とはどのような内容なの?
- どの保険商品にも付加できるの?
- 病気になるかどうか分からないのに、本当に必要な特約なの?
など、がん保険に払込免除特約が必要かどうか、またその理由を詳しく解説していきたいと思います。
現在がん保険への加入を検討されている方、がん保険の見直しを考えている方など、ぜひご一読いただき、参考になさって下さい。
内容を簡単にいうと
- がん保険の払込免除は所定の状態(死亡・高度障害など)になった時に保険料を払わなくても保障が継続する制度
- がん保険の払込免除をつけるべき理由は、定年後の収入減や治療にあたっての経済的不安に対応するため
- なんの保険が自分にベストか確かめるには、プロと一緒に複数の保険を比較するのがおすすめ
- 複数の保険を比較するときは、当サイトが唯一おすすめしている保険相談サービス、ほけんROOM相談室を絶対に使うべき(何回相談しても無料で損をするリスクがないため)
- 保険会社によって免除される要件は違うので注意
がん保険に払込免除の特約は付けるべき
まず、払込免除とは何か、簡単にご説明したいと思います。
払込免除とは、保険会社が定める一定の条件を満たす状態になったとき、保険料の支払いが免除され、保障はそのまま継続されることをさします。
がんにかかると、治療費や入院費・手術費用など、経済的な負担が大きくなりますが、今まで支払ってきた保険料の支払いがなくなれば、それらの負担を少しでも減らすことができます。
加入している・または加入を検討しているがん保険に、払込免除の特約を付けられる場合は、付けた方が安心です。
付けた方がいい理由を、次で詳しくご紹介します。
がん保険に払込免除の特約を付けたほうが良い理由
払込免除の特約を付けるメリットは、次の通りです。
1、定年後の収入減にも安心
加入している保険が、終身払であった場合、払込免除特約を付加していなければ、がんにかかっても保険料を一生涯払い続ける必要があります。
定年を迎えた後は、現役よりも収入が減ることがほとんどなので、それまで払えていた保険料を支払うことが難しくなる場合があります。
免除を受けていれば、保険料の支払いがなくとも保障を受け続けることができます。
2、治療を受けるのに、金銭面の心配が減る
がんの治療には、多くのお金がかかります。通院・入院・手術の費用はもちろんのこと、家族が見舞ったり入院・通院の付き添いをする場合の交通費・食費なども、積み重なるととても大きな金額になります。
また、放射線治療を受けた場合や再発した場合、複数回手術を受けた場合などには、治療に数年かかるケースも多く見られます。今まで通りの仕事ができなくなれば、収入も減ってしまいます。払込免除を受けることができれば、それまで支払っていた保険料をこれらの支払いに充てることができ、なおかつ保険契約内容の保障がずっと受けられるのです。
自身または家族ががんにかかったとき、肉体面・精神面での不安とともに、金銭面での不安もそれ以上に押し寄せてくるものです。月数千円の保険料でも、支払う必要がなくなれば、少しでも不安材料を取り除くことができます。
がん保険に払込免除の特約をつけないと
それでは、具体的に、払込免除の特約を付け、実際に免除になった場合、支払う保険金がどのくらい違うのかをご紹介したいと思います。
アフラックのがん保険「生きるためのがん保険Days1」(ベースプラン入院日額5,000円)で30歳男性が終身払い(保険料払方タイプ…定額タイプ)で契約し、50歳でがんにかかり、その後の保険料が免除になり、男性の平均寿命である80歳まで生きられたと仮定します。
払込免除特約を付けない場合の保険料…1,803円
払込免除特約を付けた場合の保険料…1,919円
50歳でがんにかかるまでの20年間に払った保険料の総額は、
特約なし…1,803円×12か月×20年=432,720円
特約あり…1,919円×12か月×20年=460,560円となります。
特約が付いていれば、50歳から80歳までの保険料支払が不要になります。しかし、特約がない場合は、がんにかかった後の30年間も、保険料を支払う必要があります。
その金額は、1,803円×12か月×30年=649,080円もの金額になります。
特約なし・あり双方の、30歳から80歳までの総支払保険料は、
特約なし…432,720円+649,080円=1,081,800円
特約あり…460,560円
と、その差は何と621,240円にものぼるのです。
ベースプランには、がん治療に関する特約も含まれており、これらの特約は10年更新となっています。更新時に再度付帯するかどうかで、保険料は若干変わってきます。このため、合計金額は少し変わってくる可能性もあります。しかし、特約を付けることによって、負担する保険料に大きな差が出ることがお分かり頂けたかと思います。
この保険で負担する、特約の保険料は、月々116円と、健康な間はとても軽い負担です。がんにならないことが一番なのはもちろんですが、人間はいつどんな病気にかかるか分かりません。健康なうちに少しだけ多く払っておいて、がんにかかった時に払込が免除になれば、精神的・金銭的なプレッシャーを大幅に減らすことができます。
医療保険は、数年単位で見るのではなく、一生涯を通して関わっていくものなので、長い目で見て検討する必要がありますね。特にがんは、年齢が上がっていくと罹患率も高くなっていきます。先ほど少しお話ししたように、定年後は収入が減ることが多いため、がんになった時に保険料の支払いが不要になれば、家族の生活費の足しにすることができます。
注意:がん保険の払込免除で免除される要件は会社によって違う
払込免除の特約を付けると、支払う保険料がどのくらい変わるかが分かりました。
がん保険の内容が、保険会社ごとで異なるのと同じように、免除される要件も会社によって異なります。比較しやすいように、会社ごとでの払込免除要件を表にまとめてみました。
セコム(自由診療保険メディコム) | メットライフ(ガン保険 ガードエックス) | 富士生命(新がんベスト・ゴールドα) | アフラック(生きるためのがん保険Days1) | アクサダイレクト生命(がん終身) | オリックス生命(がん保険Believe) | |
がん | 免除対象外 | がんと診断された時 | がんと診断が確定した時 | がんの治療を目的とする入院と、所定の通院日数の合計が30日に達した時 | がんになった時は、免除対象外(交通事故などで、所定の高度障害状態に該当した時、または事故の日から180日以内に所定の障害状態に該当したときに、払込が免除される) | がんになった時は、免除対象外(傷害または疾病で両岸失明などの高度障害状態に該当した場合、または不慮の事故から180日以内に片目失明・両耳聴力喪失などの状態に該当した場合に、払込が免除される) |
上皮内がん | 免除対象外 | 免除対象外 | 免除対象外 | 免除対象外 | 免除対象外 | 免除対象外 |
この表を見ると、保険会社ごとでかなり条件が異なることが分かります。がんと診断されれば払込免除になる会社もありますし、反対にがん以外の事故などで免除になる場合もあります。
ただし、ほとんどの保険会社では、保険を契約してから実際に有効になる「責任開始日」まで3ヶ月または90日経過する必要があります。免除対象であっても、3ヶ月または90日を経過していないと、保障されません。
例えば、契約してから1ヶ月しか経っておらず、責任開始日より前にがんが発覚しても、払込免除にはならないということです。
この場合、がんの治療中も保険料を支払っていくことになります。
また、上皮内がんは、免除対象外となるケースがほとんどです。これは、上皮内がんがごく初期段階のがんであり、完治することが多く、なおかつ再発の可能性も低いことが理由です。払込免除の制度があるかどうかは、保険会社を決める上でポイントになりうる項目の一つです。
終身がん保険に払込免除の特約を付けるメリットを終身払いと短期払いで比較
これまで、がん保険に払込免除は付けた方がいいというお話をして来ました。しかし、実は、支払いの期間によっては、払込免除を付けなくてもいい場合があるんです。がん保険には、終身払いと短期払い(〇〇歳払込済など)があります。混乱を招く恐れもありますので、どのような払い方をすると免除をつけるべきかそうでないのか、ここで詳しくご紹介したいと思います。
終身払いのがん保険に払込免除を付けるべき理由
終身払いのがん保険は、払込免除を付けるべきです。
先ほど、「がん保険に払込免除の特約をつけないと」の項目で、具体的な金額をご提示してお話しさせていただいた内容と重複する部分もありますが、改めてご説明していきたいと思います。
終身払いと言うのは、一生涯保険料を払い続けることを意味します。その分、保障も一生涯続きます。がんにかかった時点で保険料の払込が免除されれば、それ以降の払込は不要になり、同じ保障内容がずっと受け続けられることになります。
国立がん研究センターの調査結果でも、男女ともがんにかかる確率は50歳を過ぎたあたりから増加することが分かっています。
日本人の平均寿命を考慮すると、払込免除を付けていれば、がんにかかってからも保険料を支払うことなく数十年同じ保障が受けられることになりますよね。がん治療の期間が長引けば、なおさら心強い味方になってくれることでしょう。
短期払いのがん保険には払込免除は付けなくても良い
終身払いに対して、短期払い(〇〇歳払込済)のがん保険には、必ずしも払込免除特約を付ける必要はないと考えます。
短期払いの保険は、〇〇歳で払込が終わっても、保障は一生続くという契約内容のものが多いため、払込終了後にがんにかかった場合は払込免除特約を使う必要がなくなります。
払込期間中の若いうちに、がんにかかった時の備えをしておきたいという場合は、免除を付けておいてもいいかと思います。しかし、がんにかかる確率は50歳を過ぎた当たりから徐々に高くなっていくので、それまでの間にかかる確率はかなり低いと言えます。
参考:払込免除がないがん保険もあるので注意!
がん保険は、払込免除特約が付加できるものが多いですが、免除には2種類あります。
1、高度障害状態で免除となるもの
高度障害とは、重大な障害状態のことをさし、一例として次のような状態が該当します。
・両目の視力が全く永久になくなってしまった
・話す機能が全く永久になくなってしまった
・両上肢(肩関節から指先まで)とも、手の関節から上の部分がなくなってしまった
2、がんと診断確定したい際に免除となるもの
がん保険は、がんに備える目的で加入するため、この払込免除はとても効果があります。多くのがん保険で、別途付帯して契約するケースが多くなっています。がん保険の中でも、1に該当すれば免除になるが、2に該当しても免除とならない保険があります。
例えば、アクサダイレクト生命のがん保険は、がんと診断確定しても、保険料の払込は免除になりません。高度障害状態になったときのみ、払込免除が適用されます。オリックス生命も同様です。
保険会社によって、払込免除となる条件はとても細かく規定されているので、加入を検討したい会社が決まったら免除条件も必ず調べるようにしましょう。
がん保険に払込免除の特約は必要なのか?のまとめ
ここまで、「がん保険に払込免除特約は必要か」ということについて、解説してきました。これまで解説したきた内容から考えると、「特約は付けた方がいい」と言えるでしょう。
特約の保険料は、月に数百円というものがほとんどです。例えば、缶コーヒーを月2~5本程度減らした分で特約保険料を払うと思うと、それほど負担にならないのではないでしょうか。もちろん、保険を使わずに一生を過ごせれば、それに越したことはありません。しかし、自分から望んで病気にかかる人はいませんし、いつ誰がどの病気にかかるかは予測できません。
月数百円で安心を買えると思えば、もしがんにかかったとしても、自分及び家族の生活がなるべく病気前と変わらないように、お守りのような気持ちで払込免除特約をつけるのも、一つの方法です。
ただ、年齢や保険内容によっては、払込免除特約が必要でないケースもあります。各ご家庭の事情を考慮したり、ご自身が加入を考えているがん保険の内容を吟味したりして、専門家の意見も取り入れながら、最適な保険に加入できることを願っております。